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キャリイ(DA16T)

2021.04.22LSDのイニシャルトルクとオーバーホール その2

前回のブログでは、初心者の方にわかりやすい様に「イニシャルトルク」とは何ぞやというお話しを致しました。


走行距離が増えて来るとイニシャルトルクは徐々に低下して行きますが、今回はどういった仕組みでイニシャルトルクが落ちて来るのかお話ししましょう。


まずLSDのフタを空けてケースの中を覗き込むとこんなものが見えてきます。(物はクスコ製のタイプRSです)


s-IMGP3298.jpg


真ん中の、少し輝いた浮き輪の様な形をした物が、LSDのプレートになります。


中身を取り出すと、この様にたくさんのプレートが出て来ます。


s-IMGP32901.jpg


プレートを良く見ると、内爪の物と外爪の物があるのがわかります。


難しい話は割愛しますが、内爪のプレートはドライブシャフトに、外爪のプレートはプロペラシャフトに繋がっており、絶えず摩擦を繰り返しています。


さて、順に並んだプレートの真ん中に、厚みのある物体が入っているのがわかりますでしょうか?


この部品はプレッシャーリングと呼ばれる物で、イニシャルトルクを発生させる元となるものでもあり、アクセルオン時やオフ時にLSDをロックさせるものでもあります。


拡大するとこんな感じになっています。


s-IMGP3291.jpg


プレッシャーリングの中にはコイルスプリングが複数個入っていて、このコイルスプリングで各プレートが押し付けられる力がイニシャルトルクになります。


しかし走行を続けるとプレートが次第に摩耗して行きます。


プレートが摩耗して全体の厚みが減って来ると、イニシャルトルクは落ちて行きます。


ちなみに下の写真は、オーバーホール時に各プレートの厚みを測定した時のものです。


s-P1280087.jpg


画像を良く見ると1.78とか1.28といった数値が書いてありますが、これはプレートの厚みの実測値です。


新品の時は1.80と1.30だったものが、摩耗によってそれぞれ0.02mm薄くなったものです。


キャリイ/エブリイの場合プレートが14枚入っていますので、合計すれば0.3mm近く摩耗していることになります。


わずか0.3mmと思うかも知れませんが、この程度摩耗するとイニシャルトルクはほぼ0になってしまいます!


低下したイニシャルトルクを復活させるには、プレートを新品にして厚みを戻すか、シムを入れて全体の厚みを合わせる方法もありますが、それぞれにメリット・デメリットがあるのでどちらが良いとは一概には言えません。


LSDオーバーホールをお考えの方は、弊社にご相談いただければ最適な方法をご提案させていただきますのでどうぞお問い合せ下さい。


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プロフィール 代表取締役 高原宏幸

1992年某自動車メーカーに入社。エンジニアとして新車の立ち上げに関わり、自動車メーカーの手法・品質基準を叩きこまれる。学生時代から参戦していたダートラ、ジムカーナ、レースに影響を受け、競技車の世界への転身を決意。
1999年某自動車メーカー系ワークス会社に転職。商品企画設計、レース車両設計、レース運営アソシエーション責任者を経て、WRC立ち上げプロジェクトにエンジニアとして関わる。
2008年4月、株式会社GT CARプロデュースを設立。以来、アフターパーツの企画設計製造販売、走行会イベントの企画開催を手がける。

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